空き家問題対策
最近テレビのニュースなどでも取り上げられている、空き家になった建物の問題。
空き家のまま放置され、どんどん老朽化し、不審者が住み着いたり、ごみが投棄され悪臭を放ったり、放火の危険があったり、こういった危険な空き家が住宅街の中にも存在していて、周辺住民からの苦情がたくさん自治体に寄せられるそうです。
全国の空き家数は平成25年の調査では、820万戸となっており、賃貸用で借り手がまだついていないのものと、売却用で買い手がついていないものなどを除いて320万戸が純粋に「未利用住宅」となっており、放置されたりしている危険な空き家が含まれています。中には所有者が誰なのかもわからないような空き家もあります。
空き家が放置される現状にもいろいろ原因がありますが、その一つとして、住宅用の土地の減免措置により固定資産税が1/6になることが挙げられます。単純に考えて空き家を壊すと固定資産税が6倍になってしまうこともあり、あえて建物を放置する人が多いです。
こういった空き家問題に対応するべく、2010年以降「空き家管理条例」を制定する自治体が増え、全国で303条例にもなりました。その中で行政代執行といい空き家の解体を強制させるか行政が施行して所有者から費用を徴収するルールを定めているのは177条例になり、この問題が空き家の所有者の責任のみで解決できるものではないことを示しています。
しかし、いくら行政代執行を定めているからとはいえ、国民の財産を勝手に処分することは現行の法体系では認められず、どう考えても処分しないと事故が起こるような状態になりようやく実行に移されている状況です。また、費用の回収の難しさもあり、空き家の所有者の大半は高齢者で、何十万もかかる撤去費用を払える経済状況ではなく、その費用は税金で出さなくてはならなくなり、自治体も行動できないのが実情です。
平成27年5月に全面施行となる「空き家等対策の推進に関する特別措置法」では、より地方自治体の権限が強化され、代執行がおこないやすくなります。また固定資産税の減免措置も、老朽化のひどい建物には適用されない条項が盛り込まれた。また、これは検討中ですが更地にすると数年間減税措置を受けられるようにすることも考えられています。
総務省の調査によると、全国の総住宅数は平成5年時点で4,588万戸、同平成25年時点で6,063万戸でした。20年間で総住宅数は1,475万戸も増えました。少子高齢化の中で住宅が増えていくのは、1人暮らしの若者・老人が増え、核家族化が進んで世帯数が増加しているからです。しかし、世帯数も平成31年をピークに減少に転じる見通しになっています。
このように空き家が増えていき、放置され問題になっている現状に対して、不動産業界では新たに、空き家の管理サービスなどのビジネスを始める会社が増えてきました。これまでの様に空き家をそのまま放置するメリットも無くなるので、こういったサービスを利用し、空き家が廃墟の様にならないように管理していく必要があると思います。