
「ナフサの供給が滞ると家が完成しないって本当」「お風呂やトイレも手に入らないの?」
住まい探し中の方から、このようなご不安の声をたくさんいただいています。結論からお伝えします。——これは事実です。2026年4月、日本の住宅業界は「ナフサショック」と呼ばれる前例のない供給危機に直面しており、実際にTOTO・LIXIL・パナソニックといった大手住宅設備メーカーがお風呂やトイレの受注を停止・制限していましたが、8月現在は正常化に戻りつつあります。
スタイリッシュホームでは、取り扱い物件の物元(売主・施工会社)に直接電話で確認し、「引渡しが確実に可能な物件」をご紹介する体制を整えています。この記事では、現在何が起きているのか・なぜ住宅に影響があるのか・今後どうなるのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。
そもそも「ナフサ」とは?なぜ「家づくり」が関係するの?
ナフサは、現代の家づくりを支える「見えない原料」
ナフサ(粗製ガソリン)とは、原油を精製する過程で得られる石油化学の基礎原料です。プラスチック・合成樹脂・塗料・接着剤・有機溶剤など、私たちの身の回りにある膨大な製品の「出発点」となっています。
住宅においてナフサ由来の素材が使われている主な箇所は次のとおりです。
- 断熱材(ポリスチレンフォーム・硬質ウレタンフォームなど)
- 水道・給排水配管(塩化ビニル管)
- 外壁塗料・屋根塗料・シンナー(希釈剤)
- ビニルクロス(内装壁紙)
- ユニットバス・システムバスの壁パネル接着剤・浴槽コーティング材
- サッシの樹脂部品、建具の接着剤 など
「木で建てる家だから関係ない」と思われがちですが、現代の住宅においてナフサ由来の素材を一切使わないことは不可能です。住宅1棟に使われる資材費のうちナフサ由来の素材が占める割合は相当大きく(工法・仕様により異なる)、ナフサの供給が滞ると家づくり全体がストップしかねません。
なぜ、ナフサが不足しているのか
2026年2月末、米国・イスラエルによるイラン攻撃を契機に、ホルムズ海峡が事実上封鎖されました。この海峡は世界の原油輸送量の約25%が通過する要衝であり、日本の原油輸入の約94%を中東に依存(資源エネルギー庁、2025年実績)し、そのほぼ全量がホルムズ海峡を通過する構造上、ナフサの供給が急速に滞り始めました。
お風呂・トイレが「手に入らない」は本当?|メーカー別最新状況
| ※本記事は当社(スタイリッシュホーム)が不動産購入のご検討材料としてご提供する情報です。以下はすべて各メーカーの公式発表・公式サイトをもとにした情報です。 経済産業省は『ナフサそのものの枯渇ではなく、流通の目詰まりが原因』と説明しており、政府の介入により正常化が進んでいます。その結果、各社受注を段階的に再開していますが、ナフサショックの影響は実際の現場では1〜3ヶ月程度遅れて顕在化することが予想されます。「受注が再開されたから安心」と楽観視せず、各メーカー公式サイトの最新情報、および経済産業省の発表をご確認ください。 |
TOTO:全面正常化(12月1日から値上げ確定)
2026年4月13日、TOTOはナフサ不足による原材料調達の困難を理由に、システムバス・ユニットバスの新規受注を一時見合わせ(トイレユニットについては出荷上限の設定)。原因は、壁・天井パネルの接着剤や浴槽コーティング材に不可欠な有機溶剤の供給が途絶えたことです。 4月16日の日経報道によれば、同社は4月20日より段階的に受注再開。
さらに6月8日、TOTOは「原材料の供給見通しが立った」として、「6月9日より全製品の新規受注を全面的に再開し、納期も中東危機前の標準納期に戻す」と発表しました(日本経済新聞・時事通信、2026年6月8日)。サザナ・シンラ等の人気モデルも順次通常納期に戻り、4月から続いた一連の供給制限は事実上解消しています。
TOTO製品の2026年12月1日からの価格改定(値上げ)については、TOTO株式会社が2026年7月31日に公式発表したニュースリリースに掲載されています。公式の発表資料および詳細情報は以下のリンクからご確認いただけます。
▶TOTO値上げ発表
LIXIL:概ね正常化、8月受注分から順次値上げ
LIXILは2026年4月14日付で、システムバスルーム全シリーズについて「新規発注の納期未定・5月以降の供給量減少」を正式に発表しましたが、4月21日頃より順次納期回答を再開。5月で通常水準に近い状態に回復していますが、緊迫する中東情勢による原材料費・物流費の高騰を受け、2026年8月3日受注分より、トイレ、システムキッチン、浴室、洗面化粧台などの水回り商品を8〜15%程度値上げすると公式から発表がありました。
▶LIXIL値上げ発表
2026年8月3日受注分〜トイレ、ユニットバス、キッチン、洗面、水栓約 8% 〜 13% アップ
※タイル用接着剤のみ6月1日出荷分より実施
2026年9月1日受注分〜外壁・屋根材全般平均 13% アップ
2026年10月1日受注分〜住宅サッシ・ドア、インテリア建材、エクステリア約 10% 〜 15% アップ
パナソニック:納期回答を順次開始されたが、完全正常化はいまだ未定
パナソニックハウジングソリューションズは2026年4月14日、トイレ「アラウーノ」を含むバス・トイレ関連商品全般について、同日以降の受注分の納期を「未定」とすると通知しましたが、現在は納期回答を開始しています。完全正常化は6月後半の見込みでしたが、8月時点で正常化完了を示す公式発表は確認できておりません。
ホルムズ海峡の情勢を踏まえると、正常化が後ろ倒しになっている可能性があります。
その代わり、取引先・施工会社向けの受発注システム上で、製品ラインや品番ごとに個別で納期回答・出荷調整を行う運用を継続しています。
パナソニック製品の具体的な納期を確認したい場合は、メーカーの全体発表を探すよりも、施工会社や住設代理店を通じて個別の品番(アラウーノ、オフローラ、Lクラス等)ごとに見積・発注システム上の最新納期回答(リードタイム)を出してもらうのが最も確実です。
クリナップ:正常化(10月2日から値上げ)
当初は供給継続に努めると発表していたクリナップですが、いよいよ原材料の調達が困難となり4/14受注停止となりましたが、4月22日に受注再開しています。受注面では正常化した一方、価格面では7月7日、原材料費・物流コストの高騰を理由に、ユニットバスやシステムキッチンなど全商品を10月2日正午受注分より平均10%程度値上げすると発表しました(アクセサリーパーツ・アフターサービスパーツ類は平均15%程度)。あわせて現場配送費・搬入費も9月1日見積もり分から引き上げられます。
出典:クリナップ、全商品を平均10%値上げ 10月2日から(日本経済新聞 2026/7/7)
タカラスタンダード:安定稼働(9月から資材価格調整費、27年4月に価格改定予定)
その後、7月13日には資材価格高騰への緊急対応として、商品価格とは別に「資材価格調整費」を設定すると発表しました。対象はシステムキッチン・システムバス・洗面化粧台で、2026年9月1日注文分から商品ごとに5,000〜30,000円を追加で申し受ける形となります(例:レミュー・トレーシア・エーデル・リフィット30,000円、シャワーユニット20,000円など)。あわせて、2027年4月1日注文分からの本格的な価格改定も予定しており、改定率はシステムキッチン(I型255cmセット)で5〜12%程度、システムバス・シャワーユニット(1616セット)で3〜6%程度、洗面化粧台(75cmセット)で5〜10%程度、インテリアパネルで10%程度が見込まれています。資材価格調整費は、この本改定までの暫定的な対応と位置づけられています。
出典:タカラスタンダード公式PDF「資材価格調整費の設定と商品価格改定(予定)のお知らせ」(2026年7月13日)
| メーカー | 状況 |
|---|---|
| TOTO | 全面正常化(12月1日から値上げ確定) |
| LIXIL | 概ね正常化、8月3日受注分から値上げ |
| パナソニック | パナソニックは一括での「正常化完了宣言」のニュースリリースを出していない。 |
| クリナップ | 正常化(10月2日から平均10%値上げ) |
| タカラスタンダード | 安定稼働(9月から資材価格調整費、27年4月に価格改定予定) |
メーカー状況は特に変化が速いため、最新情報は各メーカー公式サイトをご確認ください。
お風呂・トイレだけじゃない|建材全般への影響
断熱材:大手メーカーが40%値上げを発表
カネカは押出法ポリスチレンフォーム「カネライトフォーム」を2026年4月出荷分から約40%値上げ、デュポン・スタイロも「スタイロフォーム」を5月出荷分から約40%値上げすると発表しています。省エネ住宅(ZEH)で必須の断熱材が直撃を受けています。
なお、断熱材の値上げはポリスチレンフォーム・ウレタン系だけにとどまらず、無機系断熱材にも波及しています。JFEロックファイバーは2026年6月1日納入分よりロックウールを20%以上・気密部材を40%以上値上げ、マグ・イゾベールも7月1日出荷分より25%以上の値上げを発表しており、断熱材全般でのコスト増が確定的な情勢です。
塗料・シンナー:家づくりの「最終工程」が止まるリスク
シンナーはナフサ由来の成分がほぼ100%を占めており、今回の危機で最も直接的な影響を受けています。
日本ペイントはシンナー製品を75%値上げ(2026年3月25日)、関西ペイントは50%以上値上げ(2026年4月2日)を発表しており、断熱材(40%)を上回る値上がりとなっている製品もあり、一部から「今後の商品供給が不可能になる可能性がある」という通達も出始めています。
外壁塗装・屋根塗装・内装の仕上げに欠かせないこの素材が不足すると、「基礎や骨組みは完成しているのに引渡しができない」という最悪の事態につながりかねません。
ルーフィング(屋根防水シート):受注停止で「屋根が完成しない」リスク
外壁・屋根工事に不可欠なルーフィング(屋根防水シート)でも、田島ルーフィングが2026年5月1日納品分より40〜50%の大幅値上げを実施。一部製品では新規受注停止も発生しており、6月中〜下旬にかけて段階的な再開が予定されています。
ルーフィングが不足すると屋根工事が完成せず、内装工程に進めないため、建設工期に直結します。塗料・シンナーと同様に「骨組みはできているのに引渡しができない」ケースを引き起こすリスクのある資材として注意が必要です。
また、金属サイディング・金属屋根の最大手メーカーであるアイジー工業も、2026年6月1日より全製品を18%以上値上げすると発表しています。外壁工事と屋根工事を合わせると、1棟あたり40〜50万円前後の追加コストが見込まれます。
サッシ・窓(アルミ建材):YKKAPも10月に再値上げ
窓まわりでは、最大手のYKKAPが2026年6月29日、中東情勢の悪化に伴うアルミ・樹脂等の原料価格高騰を理由に、住宅向けの窓サッシ・ビル用建材を10月受注分から約10〜15%値上げすると発表しました。エクステリア(外構)商品についても12月受注分から約10〜20%値上げされます。同社は2026年5月にも約5〜10%の値上げを実施したばかりで、年内2度目の値上げとなります。窓・サッシは新築・リフォームいずれでも必須の建材のため、断熱材・塗料・ルーフィングに続き、家づくり全体のコストを押し上げる要因となっています。
出典:YKKAP、10月に住宅向けサッシなど10〜15%値上げ 中東情勢受け(日本経済新聞 2026/6/29)
水道配管・壁紙:価格高騰と品薄が同時進行
塩化ビニル管(水道配管)やビニルクロス(内装壁紙)も原料不足により価格高騰と品薄が同時に進んでいます。信越化学工業は塩化ビニル樹脂(PVC)を1kgあたり30円以上(2026年4月1日納入分より)値上げ。さらに同社は5月11日納入分からも再度30円以上の値上げを実施しており、2回の値上げを合わせると出荷価格の上昇幅は約40%に達している(日本経済新聞、2026年4月20日)。
積水化学工業も5月7日出荷分より塩ビ管等を12〜20%値上げ、さらに6月1日出荷分からも追加値上げを発表している。水道配管や建材に使われる塩ビ関連素材全般でコスト増が進んでおり、内装工事全体のコスト増が秋にかけても続く見通しです。
主要メーカーの内装壁紙(ビニルクロス)等値上げまとめ
| メーカー | 対象商品 | 適用日 | 値上げ率 |
|---|---|---|---|
| リリカラ | 壁装材・カーテン・床材・接着剤等 | 6月29日出荷分 | 15〜30%程度値上げ |
| サンゲツ | 壁装材・床材・ファブリック・エクステリア・副資材・接着剤等 | 7月1日受注分 | 18%〜30%程度 |
| 東リ | ビニル床タイル・ビニル床シート・カーペット 壁装材・カーテン 巾木・接着剤等の副資材 | 7月27日受注分 | 20%~30%アップ |
※ここに掲載されている情報は2026年6月29日の情報です。
値上げ幅は商品により異なります。また、今後さらなる原材料価格の高騰等が生じた場合には、予告なしに変更されることがございますので、最新情報は各メーカーの公式サイトをご確認ください。
石膏ボード:内装工事の要も値上がり
内装下地材として住宅のほぼ全室に使用される石膏ボードについても、最大手の吉野石膏が2026年6月出荷分より石膏関連製品を20%値上げすると発表しています。断熱材・塗料・配管・ルーフィングに続き、内装最終工程の材料にもコスト増が及んでおり、住宅価格への累積的な上昇圧力が増しています。
住宅価格全体:「数百万円単位の価格上昇を懸念」
断熱材のみで一般的な新築1棟あたり約50万円のコスト増が試算されており(プライシー社試算)、塗料・配管・壁紙など他の石油系建材の値上がりも重なることで、住宅価格全体への影響は数百万円規模に達する可能性があります。予算オーバーやグレードダウンを迫られる購入者が増加する恐れがあります。
スタイリッシュホームの見解|今後どうなるのか
現在:値上げ・出荷制限が本格化する時期
建材値上げが本格化しています。ホルムズ海峡は5月時点でも通航が大幅に減少した状態が継続しており、商業物流上は実質閉鎖に近い状態が継続しています(EIA、2026年5月)。一方で政府は国家備蓄の放出や中東以外からの代替調達を進めており、住宅設備メーカーの受注は段階的に再開しています。ただし建材コストの高止まりは続く見通しです。
政府の対応としては、高市首相が5月分原油需要の約60%を海峡外ルート(米国産シェブロン経由・パナマ運河ルート等)で確保したと表明しており、太陽石油がサハリン産原油をスポット調達するなど代替調達が本格化しています。JETROも企業向けの迂回ルート構築支援を強化しており、住宅設備メーカーの受注再開はこうした流通正常化の効果を受けたものです。ただし建材のコスト高止まりは代替調達コストの転嫁もあり、当面続く見通しです。
リフォーム済の物件を狙うのも「賢い選択」
リフォーム済みの物件であれば、すでに設備が設置・完成しているため、非常に現実的なリスク回避となります。
「これからリフォームする物件」や「これから建てる新築」は、今後さらなる資材価格の高騰が販売価格に転嫁されるリスクがあります。つまり、今の在庫(リフォーム済み物件)は、価格改正前の価格で仕入れ・施工された「もっともコストパフォーマンスの良い選択肢」と言えます。
ただし、一部の未完成リフォーム物件(内装のみ完了し、トイレ交換待ちなど)も市場に混在し始めているため、当社ではそこも確認してからご案内します。
2026年秋〜2027年:完全正常化への移行か、長期化か
代替調達ルートの確立が進むにつれ、供給状況は段階的に改善する可能性があります。一方、停戦後もイラン革命防衛隊(IRGC)によるホルムズ海峡の通行管理が継続されるとの報道もあり、「物理的封鎖」から「制度的通行管理」への移行が長引く場合は、コスト増が構造的に定着するリスクがあります。
2026年5月下旬、米国・イランの間でホルムズ開放を含む停戦延長・核協議の枠組みが交渉段階に入った。合意後30日での機雷掃海・通航再開が合意草案に含まれるとされるが(ニューヨーク・タイムズ等複数報道)、双方の溝が埋まっていない項目もあり、流動的な状況が続いている。
【2026年6月15日 動向】
6月15日、イランのガリババディ外務次官が国営テレビで、米国との戦闘終結に向けた覚書を最終決定したと発表しました。レバノンを含む全戦線での即時かつ恒久的な戦闘終結を宣言し、6月19日にスイスで署名式を行うとしています(時事通信、2026年6月15日)。トランプ米大統領もSNSで「合意に達した」と発表しており、米・イラン双方が覚書の合意を表明したことで、2月末に始まった戦闘の終結に向けた動きが本格化する見通しです。
ホルムズ海峡の開放についても、イラン革命防衛隊に近いタスニム通信が「19日の署名式後に開放される」と伝えています。ただしガリババディ氏は「イランの覚書履行が始まるのは署名式後」と述べており、実際の通航再開は署名式(6月19日)以降となる見込みです。
なお2026年5月5日、イランはIRGCの管理下に「ペルシャ湾海峡当局(PGSA)」を設立し、通航許可・通航料制度を制度化しました(通航料は最大200万ドル/隻と報道)。これに対し米財務省OFACは5月27日、PGSAを制裁指定しています。
さらに重要な点として、仮に合意が成立しても「イランは今後も相当期間ホルムズ海峡を実効支配し続ける」との見方が中東の専門家の間で広がっており、「合意=即時・完全な正常化」ではないことに注意が必要です。エコノミストからも「ホルムズが開放されても原油市場の正常化には時間を要する」との指摘が出ています(時事通信、6月4日)。
住宅購入を検討される方にとっては、外交交渉の進展が報じられても、建材コストへの影響が解消されるまでには数ヶ月単位のタイムラグがあると理解しておくことが重要です。
【2026年6月22日 動向】
6月19日、スイス・ジュネーブで米・イラン間の覚書署名式が行われ、戦闘終結とホルムズ海峡再開に向けた合意が正式に発効しました。署名後、海峡では一時的に船舶通航が再開し、日本人乗組員を乗せたタンカーも通過、日本政府は全ての日本人がペルシャ湾外へ退避したと発表しています。
しかし6月20日夜、イランはイスラエルによるレバノン攻撃が停戦合意に違反していると主張し、ホルムズ海峡の再封鎖を宣言しました。海運データ分析会社ケプラーによると、6月21日には海峡を通過する船舶数が前日比で大幅に減少しています(ロイター、2026年6月22日)。一方、米軍は船舶の航行自体は継続していると説明しており、イランの「封鎖宣言」と実際の通航状況には差がある模様です。
このように、合意成立後もわずか1日で再封鎖が宣言されるなど、情勢は依然として極めて不安定です。「合意=即時・完全な正常化」ではないことが改めて示された形であり、住宅購入を検討される方は、外交上の進展報道があっても建材コストへの影響が解消されるまでには数ヶ月単位、あるいはそれ以上のタイムラグがあると理解しておくことが重要です。
【2026年6月29日 動向】
6月23日、IMO(国際海事機関)はホルムズ海峡周辺に取り残された船員約1万1,000人の退避計画の実施を正式発表し、オマーンが運用を主導する形で、通常の分離通航帯(TSS)に代わる暫定航路を使ったグループ別の退出が始まりました。
戦争危険保険料率も一時の約5%から約3%程度まで低下するなど、最悪期からは改善の兆しが見られます(JMIC・IMO発表、2026年6月23日)。
しかし、海峡が「平常運航」に戻ったとは言えない状況が続いています。6月25日にはオマーン沖でコンテナ船が銃撃を受け、6月27日にはパナマ船籍のVLCC(大型原油タンカー)がオマーン沖でドローン攻撃を受ける被害が発生(Windward社調査、2026年6月27日)。さらに6月28日には、タンカーへの攻撃を受けて米軍がイランへ空爆を再度実施したと報じられ(ロイター通信、2026年6月28日より)、イラン外務省は「外部からの干渉は海峡の再開プロセスを複雑化・遅延させるだけだ」と警告しています。
通航量も6月27日時点で約40隻(戦前の平常時は1日約93隻)と、半分以下の水準にとどまっています。 つまり、6月19日の覚書署名・6月20日のイランによる再封鎖宣言からさらに1週間以上が経過した現在も、「合意=即時・完全な正常化」とはなっておらず、緊張と航行再開が併存する不安定な状態が続いています。
【2026年7月6日 動向】
7月1日、米・イラン両国は「向こう1週間は静穏を保つ」と申し合わせ、通航量は回復傾向にあります。焦点は「封鎖できるか」から「誰が航路を管理し、通航料を課すのか」という制度上の争いへ移行しており、7月2日にはイラン軍統合司令部が全タンカーに「イラン承認ルート」の利用を要求。一方、米中央軍は同盟国と商業航行の自由を確認しています。
市場では原油価格が開戦前の水準近くまで下落するなど、供給正常化への期待が広がっていますが、実際の航行は依然不安定となっており、7月4〜5日には、オマーン側航路を通航しようとした複数の船舶が直前で急旋回して引き返す事例が相次いで報じられており、イラン側が海峡への影響力を維持しようとする動きが続いています。通航量も戦前の1日約130隻に対し、依然40〜80隻程度にとどまっています。
原油価格の下落が物流の正常化ではない点は変わっておらず、住宅設備・建材コストへの影響が解消されるまでには、まだ時間を要します。
【2026年7月16日 動向】
7月6日時点では「静穏」が続くとみられていましたが、7月13日に米・イラン間の軍事衝突が再燃し、状況は再び悪化しています。トランプ米大統領は「イラン封鎖の再導入」と、ホルムズ海峡通過貨物への20%の関税(トール)構想を発表しました(算定基準・徴収主体・発効日は未定)。
これを受けてホルムズ海峡の通航量は急減し、7月12日の確認可能なタンカー通航はわずか6隻(5週間ぶりの最少水準)となっています。LNG船の通航は7月11日以降ゼロとなり、カタール運輸省は全海上活動の一時停止を勧告、QatarEnergyはラスラファンでの生産回復を停止しました。 原油価格も反転上昇し、7月13日にはブレント原油が一時1バレル79ドル前後まで上昇しています(6月22日以来の高値)。 イラン・オマーンは「海事サービス料」の共同徴収を米側に提案していますが、徴収方式(任意か強制か)を巡って両国間でも意見が割れており、通航ルールの制度化には時間がかかる見通しです。 このように、6月19日の合意署名以降も「小康状態と再緊迫化の繰り返し」という不安定な状況が続いており、建材コストへの影響が長期化するリスクは依然として高い状態です。
【2026年8月3日 動向】
7月中旬の緊迫化を経て、8月に入り「通航ルートの二重管理とコストの恒常化」という新たな局面に入っています。7月下旬、イラン側(PGSA)と米国・オマーン側によるそれぞれの通航管理・安全確保枠組みが並行して運用される状態となり、主要海運会社は保険適用と安全確保の観点から特定の指定航路への迂回や個別の通航手続きを余儀なくされています。この影響により、通航量は戦前水準の5〜6割程度で横ばいが続いており、船舶の滞留による物流遅延が常態化しています。
原油・ナフサの卸売価格自体は最悪期のピークを脱したものの、船主が負担する「戦争危険保険料の割増」や「航行遅延に伴う滞船料」がコストとして定着。この影響を受け、大手住宅設備メーカーのLIXILが8月3日受注分より水まわり商品の8〜15%値上げに踏み切ったほか、TOTOも12月1日からの価格改定(平均8〜13%増)を正式発表しました。
外交交渉による即時解決が見込みにくく、リスクは「品不足による工期の遅延」から「原材料・物流コスト増に伴う建築費用の高騰」へとシフトしています。これから住まい探しや新築・リフォームをご検討される方は、単に資材が入るか(納期)だけでなく、「メーカーの値上げ(価格改定)時期を考慮した資金計画と契約スケジュール」を立てることが極めて重要になっています。
最新の情勢は流動的であるため、引き続き公式発表・報道のご確認をお願いします。
長期的な視点:中古・リノベーション市場への注目度が高まる
新築コストの上昇により、中古住宅・リノベーション市場への需要シフトが加速する可能性があります。
また、ナフサに頼らない建材(木材・ホーロー・無機系素材)の見直しが業界全体で進むとみられます。
スタイリッシュホームの対応|「引渡し確実な物件」のみをご紹介
| スタイリッシュホームでは、取り扱い物件の売主・施工会社(物元)に確認し、以下の5点をチェックしたうえで物件をご紹介しています。 |
物元確認5つのチェックポイント
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| ① 建材・資材の確保状況 | 断熱材・配管・壁紙などの仕入れ済み在庫・発注状況 |
| ② 住宅設備の発注状況 | ユニットバス・トイレの受注・納期確定状況 |
| ③ 工期の見通し | 現在の進捗状況と引渡し予定日の根拠 |
| ④ 価格変更の有無 | 今後の追加費用・価格改定の可能性 |
| ⑤ 完成保証の有無 | 万が一の工期遅延・コスト超過時の対応方針 |
不明な点がある物件については、随時確認しながら情報を更新しています。上記を確認したうえで「引渡し確実」と判断した物件をご案内しています。
よくある質問(FAQ)
Q. ナフサショックで引渡しが遅れたらどうなるの?
A. 契約書に「引渡し遅延」に関する条項が含まれているか確認しましょう。一般的には一定期間の遅延は免責とされるケースがありますが、長期遅延の場合は違約金や契約解除が認められる場合があります。契約締結前に必ず担当者に確認してください。
Q. 今から新築を建てるのはリスクが高い?
A. 「注文住宅」と「建売住宅(完成済み・完成間近)」で状況が大きく異なります。完成済み・建材確保済みの建売住宅であれば影響は限定的です。一方、これから工事を始める注文住宅はコスト増のリスクがあります。まずはスタイリッシュホームにご相談ください。
Q. スタイリッシュホームの物件は大丈夫?
A. はい。当社では前述の「物元確認5つのチェックポイント」をすべて確認した物件のみをご紹介しています。ご不安な点がございましたら、担当スタッフまでお気軽にお問い合わせください。
まとめ|ナフサ不安がある今、「完成済み物件」を選ぼう
ナフサショックは、私たちの住まい探しに直接影響する問題です。お風呂やトイレが手に入らない、工期が読めない、価格が上がる——こうした不安が現実のものとなっています。だからこそ大切なのは、「どの物件を・どこから買うか」という選択です。
スタイリッシュホームでは、ご案内最新の物件状況を随時更新しながら、物元に直接確認した「引渡し確実な物件」をご案内しています。皆さまの住まい探しをサポートいたします。
不安定な時期だからこそ、正確な情報と誠実な対応ができる信頼できるパートナーを選ぶことが大切です。
まずはお気軽にお問い合わせください。
※本記事は随時更新しています。最終更新:2026年8月6日
